5文型について~補語と目的語の文法上の違いなど
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中学で習う英文法の中でも、その骨組みにあたる5文型についてまとめたいと思います。
英語の(話し言葉を含めた)文章は原則としてこの5文型を骨格としており、
基本的にはこの5文型に形容詞や副詞などで肉付けをしたり、
関係代名詞でつないだり、強調の為に語順を変えたり
助動詞や過去形、未来形、仮定法などでニュアンスを変えたり、
いらない部分を省略したりしているにすぎません。
ですので、単語を覚えてつなげるだけでも、それらしい文章は出来上がりますが、
最初にここをしっかりと把握しておかないと
しっかりした会話ができなくなりますし、
ちょっと複雑な文章になるとお手上げになってしまいます。
逆にいえば、より複雑な文章も元をたどればこの5文型が
その骨格としてあるわけで、この5文型をしっかりと理解しておけば
その後の英語学習のすべてが有利になるといっても言い過ぎではないと思います。
5文型とは何か
まずは5文型を先にまとめたいと思います。
・第一文型:SV(主語+動詞)
・第二文型:SVC(主語+動詞+補語)
・第三文型:SVO(主語+動詞+目的語)
・第四文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
・第五文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)
記号の意味は以下のようになります。
S=主語(subject)
V=動詞(verb)
O=目的語(object)
C=補語(Complement)
主語と目的語には名詞しか来ませんが、補語は名詞と形容詞がありえます。
第一文型:SV
第一文型は一番簡単で主語と動詞のみで構成された文章です。
I exercise.
私は運動します。
It rains.
雨が降ります。
面白くもなんともない文章ですが、一応、これが第一文型の基本です。
ここに目的語や補語がくっついてきたりすると別の文型になりますが、
副詞など、直接、この動詞の意味を変えない言葉で肉付けされたとしても
骨格部分はSVのままであれば、第一文型にあたります。
I exercise everyday.
私は毎日、運動します。
It rains today.
今日は雨が降ります。
どちらも赤が主語、緑が動詞の第一文型です。
第二文型:SVC
第二文型はSVC(主語+動詞+補語)です。
補語とは、名詞(主語や目的語)に対して補足をする語という意味ですが、
第二文型では主語を説明する語となります。
つまり、上記のように二つの言葉が動詞でつながっていて、
何らかの意味で「主語=補語」が成り立つか
「補語」が「主語」を説明する文章が第二文型です。
I am a student.
私は生徒です。(I = a student)
It is hot today.
今日は暑いです。(It = hot、Itとは天気(the whether)のことです)
Your mother looks young.
あなたの母は若く見える。(Your motherがyoungに見える=youngはYour motherの説明)
いずれも赤が主語、緑が動詞、青が補語です。
第三文型:SVO
第三文型はSVO(主語+動詞+目的語)です。
目的語とは、動詞の目的、または対象になる語のことです。
I saw a star.
私は星を見ました。(a starはsawの対象)
It takes 30 minutes to get there.
そこに着くのに30分かかります。(30 minutesはtakes(この場合、時間が「かかる」という意味)の対象)
I have a flat tire.
平たいタイヤを持っている。(=パンクした)(a flat tireはhaveの対象)
いずれも赤が主語、緑が動詞、オレンジが目的語です。
なお、動詞が過去形や未来形でも、文型には直接関係ありません。
補語と目的語の違い
ここで重要なのは、第二文型と第三文型の違いです。
第二文型の場合、動詞の後に来るのが「補語」ですが、第三文型の場合、「目的語」です。
まず、意味の違いとしては以下のような違いがあります。
・補語⇒主語を説明する。
・目的語⇒動詞の目的、対象になる。
つまり、補語というのは主語とイコールか、
または何らかの意味で主語を説明する語句、ということになります。
それに対して、目的語は動詞の目的や対象になります。
原則として主語に対する説明にはなりません。
(ちなみに動詞を説明する場合は副詞が使われますが、
副詞があるかどうかでは文型はかわりません)
I like my dog.
私は私の犬が好きです。
This is my dog.
これは私の犬です。
いずれも赤が主語、緑が動詞、青が補語、オレンジが目的語です。
どちらも最後に来るのは「my dog」という言葉ですが、
前者は目的語、後者は補語になっています。
(つまり前者が第三文型、後者が第二文型です)
それはなぜかというと、前者は「好きです」という
動詞における対象(何が好きなのか)として
「my dog」という言葉があるのに対して、
後者はまさしく「It = my dog」となっており、Itの説明になっているからです。
この違いが目的語と補語の違いになります。
第二文型と第三文型って区別できると何かいい事があるの?
これは第四文型と第五文型の区別についても言える事ですが、
第二文型、第三文型を明確に区別する必要があるのかどうか、
もしかしたらあなたは疑問に思うかも知れません。
こんなややこしい「目的語」と「補語」の違いを
なぜ細かく区別しなければならないのか、と。
率直に言うと細かく区別する必要はありません。
ただ、誤解しないで欲しいのは、細かい区別に
目くじらを立てる必要がない、といっただけで、
違いがあることはやはり認識しておくべきだということです。
なぜなら、目的語と補語の違いは文法上の違いがあり、
この違いを認識していないとおかしな英語になるからです。
それでは、その文法上の違いは何か、というと、
以下のような違いになります。
・補語⇒名詞、形容詞が来る。
・目的語⇒名詞が来る。
つまり、名詞は目的語、補語のどちらにもなれますが、
形容詞は補語にしかならず、目的語にはなりません。
つまり、目的語に形容詞を持ってくることは原則、できません。
例えば、以下のような場合。
I love cute.
I love cute things.
可愛いものが好きです。
loveの後に来るのは、「私」を説明してはいないので目的語です。
目的語は名詞しかとれないので、cuteは目的語になりません。
このような場合、可愛いものが全般的に好きなのであれば、
名詞として「cute things」となります。
その他にも、例えば、日本語で話の前後で「可愛いのが好き。」という感じで
形容詞が目的語になる場合がありますが、何が好きなのか
前後関係からわかっている場合、oneなどを使って名詞にします。
Do you have a dog.
犬を飼っていますか?
Yes I do. I like dogs , particularly cute.
Yes I do. I like dogs , particularly cute ones.
ええ、犬が好きなんです、特に可愛いのが。
ちょっとわかりにくいですが、particularly cute onesというのは、
particularly (I like) cute ones.という形で、前の文章の
I likeが省略されたものですので、目的語です。
そして目的語は形容詞ではなく名詞がきますので、cute onesとなるわけです。
なので、目的語、補語の違いで重要なのは、第二文型、第三文型の違いよりもむしろ
形容詞は補語になれるが、目的語にはなれないという規則のほうです。
これはしっかりと意識しておくようにしてください。
第四文型:SVOO
第四文型はSVOO(主語+動詞+目的語+目的語)です。
第四文型は目的語が2つ必要な動詞を使う場合の文型です。
I sent you a package.
私はあなたに荷物を送りました。
She gave me a lot of information.
彼女は私にたくさんの情報をくれました。
いずれも赤が主語、緑が動詞、オレンジが目的語1、紫が目的語2です。
第四文型で重要なことは以下の2つです。
1.目的語は入れ替えることができない。
2.第三文型に変えることができる。
順番に説明していきます。
目的語は入れ替えることができない
基本的に目的語は入れ替えることができません。
そしてなくなると文章として意味が通らなくなる語が後ろにきます。
I sent you a package.
私はあなたに荷物を送りました。
この場合、最初の目的語をなくしても、文章としては意味が通ります。
I sent a package.
私は荷物を送りました。
ですが、後の目的語である「a package」をなくすと意味が通らなくなります。
I sent you.
私はあなたに送りました。(何を?)
ですので、ないと意味が通らないa packageが必ず後ろに来ます。
第三文型に変えることができる
実は先の説明ですでに第三文型に変えてしまったのですが、
第四文型の文章は第三文型に変えることが可能です。
第四文型:I sent you a package.
私はあなたに荷物を送りました。
第三文型:I sent a package.
私は荷物を送りました。
第三文型:I sent a package to you.
私はあなたに荷物を送りました。
前者の文では目的語を一つなくしています。
そして後者の文ではなくなった目的語が前置詞と一緒に後ろにつけられます。
先の説明で「第四文型はなくなると意味が通らない目的語は後ろにくる」と
言いましたが、「前置詞をつけて後ろに持ってこれる語句が前にくる」と
言い換えてもいいかも知れませんね。
第五文型:SVOC
第五文型はSVOC(主語+動詞+目的語+補語)です。
第五文型は目的語と補語がでてきますが、この場合の補語は
(第二文型とは違って)目的語を説明します。
第二文型の補語同様、名詞と形容詞がきます。
Mr.Saito made her angry.
斎藤さんが彼女を怒らせた。(her=angry)
People call him X.
人々は彼をXと呼ぶ。(him=X)
いずれも赤が主語、緑が動詞、オレンジが目的語、青が補語です。
いずれも補語が目的語の説明になっております。
この場合、目的語と補語が合わさって一つの意味をなしていますので、
第四文型とは違って、目的語も補語も省略できません。
また、先の説明と同じになりますが、形容詞は目的語にはなりませんので、
目的語の場所には必ず名詞がきます。
ですので、第四文型、第五文型のように動詞の後に二つの語句がくるような場合でも、
必ず「名詞+名詞」か「名詞+形容詞」の順序になります。
まとめ
上記で以下の5文型について説明しました。
・第一文型:SV(主語+動詞)
・第二文型:SVC(主語+動詞+補語)
・第三文型:SVO(主語+動詞+目的語)
・第四文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
・第五文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)
そして、重要なことは
・補語には名詞と形容詞が来ることができますが、
・目的語は必ず名詞しか来ない
ということです。
単に第一~第五文型を覚えるだけでは、
学校のテストでしか役に立たない知識になってしまいますので、
この目的語と補語の違いをきちんと明確にしておくことが重要ではないかと思います。
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